「同じ行為を何度も繰り返すと人の心は無心になっていくというものの考え方。」
これは民芸運動の提唱者である柳宗悦の言葉であり、私の作品と創作過程にとても大きな影響を与えている。私の創作方法(メソッド)は同じ作業(行為)を繰り返す手法で、その作業に先立って先ず「ある約束ごと」を決める。そしてその約束ごとに沿って、無心に繰り返し描いていくことで、現れる予期していなかった宇宙。その中で驚きや喜びを経験する(感じる)といったやり方が、私の創作方法だ。私は、言葉では表現できないが、自分自身の表現方法で、「言葉に置き換える」ことの困難な自身の思想(哲学)を表現できると確信し、自分の作品を制作している。鑑賞者が私の作品に対して「無心」で向き合い、個の確認・存在を認識していただけたら幸いに思う。
1947年
愛知県名古屋市生まれ
1974年
東京造形大学美術学部絵画科卒業
1975年〜1976年
渡欧(ロンドン滞在)
1977年〜1987年
前田常作氏(武蔵野美術大学元学長)に師事。
東京府中市で絵画教室「アトリエ・アドゥ」を主宰する傍ら、NHK学園絵画講師、都立高校絵画クラブ講師、利根山光人絵画教室講師などを務める。
1991年
茨城県大子町にアトリエを構え、移住。
2014年Agora Gallery(アメリカ・ニューヨーク市)でのプレスリリース
仏教、道教及び心理学の教えにインスパイア―され、日本のアーティストの鈴木省二はデザインを超えた深い黙想の世界に導く芸術を創作しています。単に絵を描くというようなレベルよりも深いレベルに自分を浸すことによって、鈴木は繰り返しの作業の中に内観的なピース(心の安定)を発見しています。鈴木にとってアート(芸術)は宇宙の中心に自分を据えるツール(道具)になっています。それぞれのライン(線)が彼の思考の心を無心にする瞑想的で目に見えるマントラ(密教の呪文)になるのである。鈴木は紙の上にアクリルやミックスされた材料をつかって、形をハンドドローイング(手描き)で繰り返し繰り返し描き、結果的に出来上がる催眠的な構成(絵画)をもって、ダイナミックな抽象概念を表現するために作品を作り上げています。
日本の名古屋市に生まれ、東京造形大学で絵画を学び第1回東京リキテックスビエンナーレ展で東京賞を受賞。日本でのプロアーティストとしてのキャリアーに加え、最近まで子供たちに絵画を教える小さな学校アトリエ・アデゥーを主宰していました。